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防災リュックとはなにか
災害時に持ち出すためのリュック、通称「防災リュック」。一度は購入を検討したことがあるかもしれません。多くの防災リュックは、必要そうなアイテムがセットになって販売されています。
しかし、内容をよく見てみると、普段から準備の良い人なら持ち歩いているものが多く含まれていることに気づきます。そこで、既製品を購入するのではなく、自分にとって本当に必要なアイテムを吟味し、実用的かつ現実的な防災リュックを考えていきます。
防災リュックは特別なものではなく、日常で持ち歩くものに少し追加するという考え方が重要です。例えば、普段から持ち歩いているバッグにプラスアルファするだけで防災リュックの役割を果たすことにします。
というのも、災害はいつ起こるかわからないので、いつも持っているリュックやカバンを災害用にカスタマイズしておかないと家に帰らないと防災リュックが使えないとなれば、そもそも防災リュックではなくて備蓄の考え方にしたほうが良いと思うからです。
1次避難・2次避難と分けて考える
1次避難(いつものリュック)と2次避難(車や拠点にストックするもの)を分けて考えると、実用的で無駄のない防災準備ができるのではないでしょうか。
もちろん、推奨される水準よりは少ないかもしれないのですが、実際に有事が起こったときに何も持っていないケースがないほうが望ましいので、着地点としては、日頃から持ち運べるものにする。 多少荷物が多くなっても、日々持ち運びながら備えるスタイルを目指します。
1次避難の参考になるものといえば、「非常持ち出し袋」でしょうか。
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宿泊の要素を取り入れるならバッグは分ける
避難所や車中泊の可能性がある場合は、宿泊セットも別途用意するのが理想です。もちろん、これらを常に持っていることができれば理想ですが、物量的に難しいとは思いますので、車で行動している人は車にストックするという形が理想でしょう。資金に余裕があれば、行動圏内のコインロッカーに保管する手もあるかもしれませんが、実現は難しいかもしれません。
宿泊の要素は下記になるでしょう。これについては別記事で考えたいと思います。
- キャリーケース・トランク(車移動・各拠点ストック用)
- 旅行セット(歯ブラシ、着替え、かさばらない災害用毛布など)
災害時に家に留まる場合は、防災リュックの必要性は低くなります。しかし、「家を捨てる必要がある場合」や「家に戻れない場合」に持ち運ぶものを考えておくことが重要です。
非常持ち出し袋に入っているものを調査する
市販の非常持ち出し袋には、どのようなものが入っているのかを確認するのがまず第一ステップです。既製品をそのまま買うのではなく、必要なものだけを取り入れることが重要です。
非常用アイテムを選別するにあたって、実際に災害を経験した人々の意見を参考にするのも有効です。SNSや防災関連の書籍を調べると、リアルな経験談が多く掲載されています。
もちろん、防災リュックに入れるアイテムは、過去の災害事例を参考にして決めるのが理想です。災害の種類によって求められるものが異なるため、住んでいる地域のリスク(土地・治安)を考慮しましょう。
地震対策:崩落や停電を考慮してヘッドライトや防塵マスク
水害対策:防水バッグや防水スマホケース
火災対策:避難用の防煙フードプラスアルファは災害情報を参考にする
犯罪対策:貴重品の管理、護身具
巷で売られている防災リュックを因数分解し、本当に必要なものを見極めます。
- 家に置いておくものか? → 避難前提なら持ち歩くものが必要
- いつ被災するかわからない → 持ち運べる範囲のものを準備
- 常に持っているものは何か? → 普段使いしながら備蓄
- 自分にとって汎用性の高いものを選ぶ
- 持ち運べる限界を考慮する
- 日々の快適さとのバランスを考える
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いつものお出かけグッズに+αが自分の防災リュック
最適な防災リュックを作るために、自分に合ったアイテムをリストアップしました。あくまでこれは一例です。基本的に仕事など自分自身の日常の延長線上で考え、仕事やプライベート外出とあまり変わりがないラインナップにします。 下記以外のものは、常時保持するのは少ししんどいので、どこかで調達できるような方法を別途考えます。
- 財布(現金、保険証などのカード類)
- 携帯充電器、モバイルバッテリー
- タオル、ティッシュ、ウェットティッシュ
- 懐中電灯
- ラジオ(スマホが使えない場合の情報収集)
- 予備の電池1ケース
- 水筒やペットボトルのドリンク
- ミニアルコールスプレー
- 応急処置セット(薬、絆創膏)
- ノートPC(仕事や情報収集用)
- 折り畳み傘
今のところ困っているのが、「防災ヘルメット」の存在です。折り畳みヘルメットとはいえ、リュックの中に入れると、案外場所をとってしまい、いつも使いが結構しんどくなってくる点があります。
ですので、理想としては行動を自転車にするなどして、自然とヘルメット(用途は違うので推奨ではないものの)を負担なく持つことができるような活動を設計することが必要かもしれません。
いつもの延長で1人1リュック
正直なところ、家がどうなるかでサバイバルの難易度が大きく変わりそうですが、いつ起こるかわからない災害に対策するために、家族各人がいつものカバンの中身を災害対策に寄せるのがよいでしょう。
いざ災害が来た時に、いつもと違うことを瞬時にできるか?となるとしっかり訓練をしていないと、まずできないと思います。かといって、訓練をする時間もなかなか取れないのではないでしょうか。
台風の際にちょっとした停電でも、なかなかに戸惑い全然スマートに災害用品を出すことはできないものです。それが、大きな地震が来たら、もっとスマートにいかないことは想像できます。
訓練の時間が取れるなら、それに越したことはありません。しかし、現実的に取りうるベターな選択肢としては、普段使いのリュックを、いざの災害時にもすぐ背負う。これくらいができるせいぜいのアクションではないでしょうか。
それでは、また。