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会社でのパワーバランスを感じるとき
発言力の違いを感じるとき
会社で働いていると、明らかに自分よりも発言権が強い人や、逆に意見が通りにくい人がいることに気づく場面が多いです。会議での発言の重み、プロジェクトの主導権、評価のされ方など、様々な場面でパワーバランスは可視化されます。
多くの人が「上司には逆らえない」「役職が高い人の意見が通りやすい」「声が大きい人が優遇される」といった経験をしていると思いますが、それは単なる横暴ではなく、社内での利益期待値に基づく合理的な計算の結果であると考えられます。
会社は利益を追求する組織であり、個人の発言や行動が利益にどれだけ寄与するかが評価されます。そのため、純粋な実力や成果だけでなく、社内政治が影響することも多いです。
例えば、役員に気に入られることでプロジェクトの予算を確保しやすくなる、ライバルを押さえ込むことで出世のチャンスを得る、といったケースがあります。
これは一見、非合理に見えますが、組織内の利益最大化の観点からすると、むしろ当然のこととも言えます。気分良く仕事ができることは、基本的に生産性の向上につながります。
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シンプルにメリットが軸
なお、社内政治というと複雑な駆け引きをイメージしがちですが、実際にはシンプルに考えることもできます。それは、すべてのパワーバランスが「利益期待値」に換算されるという視点を持つことです。
つまり、会社にとって有益な人物や損失の影響度が大きそうな人物は発言権が強くなり、逆に利益を生まない、損失影響度が少なそうな人物の意見は通りにくくなります。
こう考えると、職場での立ち回りも明快になり、余計なストレスを感じずに済みます。
なお、ここでいう「利益期待値」は正式な定義ではなく、あくまで筆者が記事上で述べている定義になるのでご了承ください。
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すべては利益期待値というパラメータに換算できます
利益の提供度が会社でのパラメータ
会社におけるパワーバランスは、突き詰めると「この人の存在が会社にどれだけの利益をもたらすか」という利益期待値で説明できます。利益期待値の計算には、以下の要素が含まれます。
- 年齢:長く働くほど経験は増えますが、給料も上がるため、コストパフォーマンスが下がることもあります。未来の功績を積める期間がどれだけ残っているかで換算されます。
- 役職:上位の役職者ほど意思決定の範囲が広いため利益に影響を与えやすいです。
- 功績:過去に大きな成果を上げた人や信頼を積み上げた人は、その実績をもとに発言力を持ちます。また、それに報いる姿勢は会社に対する安心感につながり全体の利益期待値を上げます。
- 失策:大きなミスをした人や他社のパフォーマンスを下げる人は評価を下げられ、発言力が落ちます。
このようなパラメータが組み合わさり、社内での立場が決まります。
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上司には基本的に勝てない
会社の利益期待値という観点から見ると、不満があったときも部下が上司に勝つことは基本的に難しいです。なぜなら、上司はより高い役職を持ち、過去の功績や評価を背景にしているからです。
さらに、組織としては上司の意見を尊重することで一貫性を保とうとするため、部下の意見が押し通るケースは少ないです。
ただし、例外として上司の行為が会社の利益を大きく毀損する場合は、部下でも勝てることがあります。例えば、パワハラやセクハラ、横領などが発覚した場合、上司が解任されるケースがあります。
これは、上司を守るよりも組織の存続にとってこれまでの利益が吹っ飛んでしまうリスクが高いため、会社が対処せざるを得ないからです。
部下が取れるカードは限られる
部下としての選択肢は限られています。上司に対抗して無理に意見を通そうとすると、リスクが高いです。結果的に、取れる選択肢は次の二つに絞られます。
- 低空飛行:目立たず、リスクを取らず、無難に業務をこなす。
- 退職:自分の価値が正当に評価される環境を求めて転職する。
どちらを選ぶかは状況次第ですが、無理に戦おうとするよりも、合理的に行動するほうが賢明です。会社で自分の要望が通るかどうかは、その要望が会社の利益期待値に合致しているかで決まります。
- 通る場合:上司や会社にとってプラスになる提案であるとき。マイナス影響が大きいとき。
- 通らない場合:会社にとってリスクが高い、もしくはコストがかかると判断されたとき。
この基準を理解しておけば、無駄な交渉や期待を避けることができます。
なお、低空飛行が安全策なようにも見えますが、自然と低空飛行になる場合はともかく、わざわざ意識的に低空飛行をする必要はないかと思います。
それならば、転職や自営に向けて努力を重ねたほうがよいでしょう。自営の準備や転職の準備でおのずと本業に避ける時間が減ることによるパフォーマンス減少にとどめるのがよいでしょう。
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身もふたもない理由
理由は曖昧なときもある
実際には、会社側は「利益期待値」という概念を明確に説明してくれるわけではありません。むしろ、「今はタイミングが悪い」「単純に面倒くさい」といった曖昧な理由だったりするかもしれません。
しかし、その裏には「この提案を受け入れても会社にとって利益にならない」というシンプルな論理があります。何を利益とするかは会社によって変わってくる面はありますが、要するに、会社は合理的に動いているだけなのです。
起点は感情・実現は理屈や大義名分
多くの意思決定は感情から始まり、理屈や大義名分によって正当化されます。上司が部下の提案を受け入れる場合も、「この人は頑張っているから応援したい」という感情が最初にあり、それを「会社の方針に合っているから」といった理屈で説明することが多いのではないでしょうか。
逆に、感情的に嫌われていると、どんなに理にかなった提案でも通りにくくなります。だからこそ、職場ではロジックだけでなく、感情の動きを理解することも重要です。
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さいごに
会社でのパワーバランスを理解するには、すべてを「利益期待値」に換算すると分かりやすいです。年齢、役職、功績、失策などのパラメータが影響し、功績の積み上げから、先輩や上司には基本的に勝てませんが、例外的に勝てるケースもあります。
部下が取れる選択肢は低空飛行か退職であり、自分の要望が通るかどうかは会社の利益に合致するか次第です。会社が何を利益とするかを捉えておくことが、立ち回り上重要な行動指針となるでしょう。
最終的に、意思決定の起点は感情であり、それが理屈や大義名分で正当化されることを理解しておくと、コミュニケーションがスムーズになります。
それに、そもそも利益を計測する機器が壊れているかもしれませんし、自分が提供できる利益を計測できない場所かもしれません。
そういった事象を俯瞰的に捉えて行動を重ねていけるとより良い明日になるかもしれませんね。それでは、また。