
毎日食べる食品。成分表を見て気になった。
ある日ふと手に取った商品の裏面、成分表を見つめて思いました。これは、果たして「栄養がある」と言えるのでしょうか。
炭水化物、脂質、タンパク質——これらは総カロリーの構成要素です。しかし、その下に書かれているビタミン、ミネラル、食物繊維などはどうでしょうか。カロリーには含まれない栄養素が、明らかに不足している気がしました。
健康を意識しているつもりでも、実はなんとなく満たされた気になっているだけかもしれません。食品の選び方を見直すきっかけについて考えてみたいと思います。
「安かろう悪かろう」が意味するもの
「安いものには安いなりの理由がある」——これは昔から言われていることです。しかし、現代の食品においても、この言葉は変わらず当てはまります。
たとえば100円で買える即席カップ焼きそば。味も濃くて満足感はあります。しかし成分を見ると、炭水化物と脂質の比重が高く、ビタミンやタンパク質、食物繊維の比重は低くなっています。
これは単に「悪い食べ物」ではなく、「安く作るにはこうなる」という構造の結果ともいえます。

価格はどう構成されているのか
さてここで、食品の価格の現れ方には大きく3つの要素に分けられます。
- 材料費
- 加工費
- ブランドや希少価値
たとえば無添加のナッツや天然由来のプロテインバーは、原材料自体が高価なため、どうしても値段が高くなります。一方、菓子パンやスナック菓子は、大量生産と安価な原材料によって低価格が実現されています。
自分にとって「本当に価値があるもの」はどこにあるのでしょうか。物であれば“材料費”に価値を感じる方もいれば、サービスであれば“加工や手間”に価値を見出す方もいるでしょう。
栄養素で見る食品の価値
食品に含まれる主な栄養素は、炭水化物・脂質・タンパク質の三大栄養素です。
・炭水化物はエネルギー源。短期的な満足感を与えてくれます。 ・脂質はホルモン生成や細胞膜の構成に関わります。 ・タンパク質は筋肉や内臓、血液の材料になります。
けれど現代の食生活では、炭水化物はどうしても過剰になりがちです。通勤・通学・在宅勤務といったライフスタイルでは、エネルギー消費はそれほど高くありません。
一方で、不足しがちなのがタンパク質です。鶏むね肉、豆腐、納豆、卵——こうした食材を意識して摂る必要がありますが、インスタント生活に比べるとコストや手間がネックになります。
とはいえ、これらは健康的な栄養素が含まれているにも関わらず比較的安価といえば安価なので、一人暮らしの男性でも「納豆」「ゆで卵」「インスタント味噌汁」であれば毎日の食事に取り入れることができるのではないでしょうか。
野菜が不足するので、野菜ジュースで補うなどしつつ。

安価な食品が炭水化物に寄りがちな理由
なぜ安価な食品は炭水化物ばかりになるのでしょうか。それは、炭水化物が安く・保存性が高く・加工しやすい栄養素だからです。
たとえば、菓子パン。小麦粉+砂糖+油脂+香料。この構成で、安価かつボリュームのある商品ができます。一方で、タンパク質や食物繊維を強化しようとすると、豆類や穀物、動物性素材など高価な材料が必要になります。
加工にも手間がかかるため、その分コストが跳ね上がります。
また、「カロリー≠栄養」という視点も重要です。例えば、200kcalのポテトチップスと200kcalのゆで卵+ブロッコリーでは、体への影響がまったく異なります。

健康的な食品は高価になりがちというジレンマ
良質な食材を使い、添加物も少ない食品ほど、価格は上がります。
有機野菜や発酵食品 ・無添加のシリアルバー ・高たんぱく食品(サバ缶、ギリシャヨーグルト、プロテインパウダー)などが挙げられますが、こうした食品は健康には良いですが、毎日の買い物では「手が出しにくい」と感じることもあります。
このジレンマは、“健康”と“経済性”の間で私たちが常に揺れている証拠だといえるでしょう。
日常の食事こそ“価格と栄養のバランス”を意識したい
では、どうすれば栄養価の高い食事を、手頃な価格で実現できるのでしょうか。
・乾物(ひじき、大豆、高野豆腐)を活用する ・冷凍野菜でビタミンを補う ・業務スーパーで鶏むね肉や卵をストックする
たとえば「納豆+卵+玄米ごはん」は、安価で高栄養です。意識ひとつで、食事の質は大きく変わります。

予算内で“健康”を選び取るという視点
買い物のたびに、価格だけで選んでいないでしょうか。
・この価格には何が含まれていて、何が削られているのか? ・カロリーは十分でも、栄養は足りているのか? ・自分が「何を重視しているか」を明確にしているか?
安いから選ぶ”ではなく、納得して選ぶ。その視点が、健康にも生活にも良い影響を与えてくれます。今の自分が出せる最適な価格と内容を選択しましょう。
栄養バランスを意識した食生活は、贅沢ではなく「生活防衛」です。
未来の医療費を先に削減している、そのような感覚です。治療より予防することに重点を置く考え方です。無理なく少しだけ意識して選ぶことで、長い目で見れば大きな差になります。
「安さの裏にある“削られた何か”を見逃さないこと。」これが納得行く健康的な生活習慣につながっていく一つではないでしょうか。